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脳卒中(脳梗塞・脳出血)、くも膜下出血について

脳卒中(脳梗塞・脳出血)への理解がリハビリの第一歩

「脳卒中」とは、「脳梗塞」と「頭蓋内出血」の総称です。
脳梗塞とは、何らかの理由で脳内の血管が詰まり、ブドウ糖や酸素が行き渡らなくなることで脳の細胞が死んでしまう病気です。また、頭蓋内出血は脳内外の血管が破れることで脳が障害される病気です。
脳梗塞は原因や血管により分類されており、脳内の細い動脈が詰まるものを「ラクナ梗塞」、逆に脳内の大きい動脈が詰まるものを「アテローム血栓性梗塞」と呼びます。また、心臓の中でできた血栓(血の塊)が脳の動脈で詰まるものは「心原性脳塞栓症」と呼ばれます。
頭蓋内出血は、脳内の血管が破れる場合と、脳外の血管が破れる場合があり、前者を「脳出血」、後者を「くも膜下血種」と言います。
現在、日本では死亡原因の第3位が脳卒中です。以前は1位であった脳卒中ですが、近年は順位が下がっています。しかし、決して脳卒中の発症が減少したわけではありません。現在1位・2位の「がん」「心臓病」が大幅に増加したこと、早期発見や医療の進歩により死に至る患者さんが減少していることがその理由です。
脳卒中の発症数は年々増加しており、死に至らなくとも重い後遺症が残る場合も多く、寝たきりになる原因の約3割が脳卒中であり、特に問題視されています。 超高齢社会・食の欧米化・生活習慣病の増加などの理由により、今後も脳卒中が増加することが予想されます。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)の問題とは

脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」「一過性脳虚血発作」など様々な種類があり、いずれも何らかの原因により脳の細胞が障害される病気です。原因や病態は異なりますが、これらの病気では現れる症状に大きな違いはありません。脳卒中の症状は脳の損傷部位により現れ方が大きく違います。

以下に部位ごとの症状をまとめます。
大脳:身体の左右どちらかの運動麻痺(片麻痺)や感覚障害、言語障害(呂律が回らない・言葉が出にくい)など。
小脳・脳幹:物が二重に見える(複視)、ふらついて姿勢が保てない、手足がうまく動かない(四肢失調)など。小脳や脳幹は生命維持に重要な部位でもあるため、この部位が障害されると意識を失ったりする場合もあります。

脳障害の部位や程度により症状は異なりますが、脳卒中の代表的な症状は、頭痛、めまい、意識障害、手足の運動・感覚異常、言語障害、視力障害、体幹バランス異常、記憶障害、けいれん発作など多岐に渡ります。また、身体上は何も異常はない場合でも言語障害が現れたり、脳の障害により性格が変化してしまう場合もあります。
これらの症状により日常生活が不便になってしまうことも少なくありません。入院中から、自宅に戻ってからも装具や杖などを使用し生活することが多いですが、後遺症の程度や身体の状態は改善・悪化を繰り返します。その時々に合わせて杖や装具を調整や交換していくことが大切となるでしょう。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)にリハビリが有効な理由

脳卒中の後遺症に対する代表的な治療は以下の3つです。
・内科的治療(薬の服用など)
・外科手術
・リハビリによる機能改善、悪化予防、運動方法の再獲得

脳卒中を発症してすぐは、病態が安定せず、治療上安静が必要となります。しかし、病状が安定した後にも必要以上に安静にしていたり、身体を動かさない状態が続くと廃用症候群を招くことになります。廃用症候群は、過度の安静により心身の機能の低下が起こるもので、それにより新たな合併症が引き起こされる原因となります。脳卒中の後遺症により麻痺などがある場合には、身体を動かすことが困難となり、億劫に感じるかもしれませんが、廃用症候群を予防するためには、早期からリハビリを行い、継続して行っていくことが必要となります。
脳卒中の後遺症は多岐に渡り、複数を合併する場合もあります。後遺症の現れ方は個々により異なるため、専門家による個々の状態に合わせたリハビリプログラムが必要です。
以下に代表的なリハビリ方法について説明します。

【リラックスポジション(良姿勢保持)】
脳卒中では、無意識に身体の一部分に過剰な力が入り、筋肉が突っ張ってしまう「痙縮」という後遺症があります。足首や足先がピンとまっすぐ伸びてしまったり、膝が外側に開いてしまうといったものが代表的です。痙縮が起こると、寝ている時にもリラックスできず痛みや不眠につながる可能性もあります。また、この姿勢のまま長期間放置すると、関節が凝り固まり「拘縮」という状態になってしまいます。拘縮を起こすと、その後の改善は難しいことから、早期より痙縮へ対応する必要があります。痙縮への対応は、タオルや枕を利用し、腕や足が自然な姿勢になるよう固定する方法があります。

【関節可動域訓練】
脳卒中の後遺症により手足が動かなくなることがあります。しかし、長期間動かさない状態が続くと、関節が固まり拘縮を起こします。拘縮を予防するため、早期から理学療法士や作業療法士などの専門職によるリハビリが必要となります。リハビリでは、関節を他動的に動かすことで拘縮を予防しますが、過度に動かすことにより痛みが発生したり、間違った動かし方をすることで重大な事故につながるケースもあるため、特に初期に関節可動域訓練は、十分に訓練を受けた専門職に任せる方が良いでしょう。

【座る練習・立つ練習】
脳卒中の発症後は、体幹が不安定になることもあり、まっすぐ座ることが困難になります。また、麻痺がある場合は座っている間に身体が傾き、転倒してしまう危険性もあります。そのため、リハビリでは長時間座位を保つ練習や、座位の状態で身体を動かす練習が行われます。 また、麻痺により足で体重が支えきれず立位が難しくなる場合があります。不安定な立位は転倒の危険性もあり、歩行へも影響します。しっかりと立位を保つためには足の力を付けることが重要であるため、リハビリではスクワットなどが取り入れられています。

【歩行練習】
脳卒中の後遺症による麻痺がある場合、歩行が安定せず、転倒してしまうことがあります。これは、麻痺側の足に体重をかけることができなかったり、逆に体重がかかりすぎることが原因です。そのため、リハビリでは専門的な指導により適度に体重をかける練習を行っていきます。安定して歩行ができるようになれば、後ろ歩きや小走りなどの応用も練習により獲得できるかもしれません。

自費だからできる脳卒中(脳梗塞・脳出血)へのリハビリ

脳卒中の後遺症へのリハビリはできるだけ回数を多く行い、動きやすい方法を探していくこと、そして筋力をつけて体を強くしていくことが必要です。その結果、麻痺した足でも体重を支えられる、あるいは踏み出しやすくなり日常生活が楽になります。しかし、介護保険内では制度上1回のリハビリで行える時間は概ね20分~40分程度です。短時間では動きやすい方法を探すことで終わってしまい、反復して定着する時間が得られません。そのため、当施設でのサービスはリハビリの専門家がマンツーマンで約60分リハビリを行い、お身体が動かしやすい状況を整えてから筋肉を使うことを徹底して行います。
また、退院後の経過やリハビリによる改善度に合わせて装具や杖の調整・変更も行います。
国家資格を持ち、病院での現場経験も豊富なスタッフが対応しますので、生活上のお悩みや今後の経過についてのご相談も受けられます。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)の方へのメッセージ

「麻痺は治らない」と諦めていませんか?諦めてしまうことは非常にもったいないことです。
「もっと楽に動きたい」「今のリハビリに効果が感じられない」「もっとリハビリをしたい」と思われる方の気持ちに応えるリハビリを提供します。